インプラントとは
gooの辞書検索で調べてみると以下のとおりです。
(1)欠損あるいは外傷を受けた部位に埋め込むために,人工的に作製した器官・組織の代替物。または,それを埋め込むこと。人工関節・義歯・腱(けん)・血管など。
(2)身体改造の目的で,皮膚下に人工物を埋め込むこと。また,そのような人工物。皮膚下に小さな球(ビーズ)を埋め込むビーディングなど。
ここでは歯医者さんのインプラントについて語りますので「顎の骨に埋め込んだ人工歯根のこと」を言います。一般的には上部構造(むし歯治療で云うところの被せる歯)も含めてインプラントという概念もありますね。
歯を失うということ
よくあるケースですが、右下6番(6歳臼歯、第1大臼歯、奥から2番目の歯です)の「むし歯」から「入れ歯」になってしまう経緯をレントゲン写真で追ってみました。
チャート3でインプラントを選択していれば「最小限の投資で最大限の効果」が得られたはずです。
チャート8でインプラントを選択するのも効果的でしょう。
チャート10の入れ歯になった後の話ですが・・・
バネが掛かる歯はむし歯になったり、折れたり、、、とにかく悪くなります。
奥歯のかみ合わせがしっかりしないので、下の前歯に突き上げられ、上の前歯が悪くなります。
下の奥歯が欠損、上は前歯が欠損、、、多数の欠損を抱えてからインプラントを選択すると、どうしても多額の費用がかかります。治療終了までの時間もかかります。最悪の状態になる前にインプラントを・・・これが賢い選択です。
なお、下の写真ですが、チャート1とチャート2は同じ方です。チャート8と9は同じ写真です。他の写真はそれぞれ違う方の写真ですが「こんな感じ」という説明上、見やすいために使用しております。
チャート1
右下の奥歯(第1大臼歯)がむし歯で神経を取ったのでしょう。治療後はしばらく大丈夫だったそうですが痛くなりました。根の周囲が黒ずんで炎症を起こしているのが分かります。
チャート2
チャート1の歯の治療後です。一生懸命治療しましたが、「はい、ズーッと大丈夫です」なんて太鼓判は押せません。「こんどダメになったら抜歯ですね」と患者さんに申し伝えるしかないです。
チャート3
抜歯になると、こんな感じで欠損になります。
「着脱式の入れ歯にしますか?」
「両サイドを削ってブリッジにしますか?」
保険治療ならどちらかを選択しなくてはなりません。
チャート4
装着感の悪い「入れ歯」を選択する方はほとんどゼロです。両サイドの歯を削ってブリッジにしました。この写真のブリッジは少し持ちそうですね。それでも健全な両サイドの歯がもったいないです。
チャート5
「なるべく削らないように・・・」というスケベ根性を出してブリッジを作りました。あらら、、奥歯が崩壊してますね。
チャート6
治療内容にも問題ありかも知れませんが、両サイドの歯はダメになりかかってます。自覚症状はありませんが、是非とも再治療したいところです。強く説得すると「ヨシダ歯科で何でもない歯をいじられた」などという不評を買いますが、、、
チャート7
ここまでくると、一番奥歯はもうダメです。膿がとまりませんでした。抜歯ですね。
チャート8
はい、奥歯に支える歯が無くなってしまいました。この欠損状態ですと、ホケン治療ではどうしても「入れ歯」を選択しなくてはなりません。
チャート9
あらら、、反対側も同じような運命だったのですね。
※チャート8の方の全景です。
チャート10
入れ歯の完成です。どんなにピッタリの入れ歯でもご自分の歯の30パーセントぐらいしか噛む力は出ません。金属のバネが掛かる歯は急速に悪くなります。
※チャート9の方の入れ歯ではありません。あくまでもイメージです。
インプラント Q and A
高いと聞きました。やはり保険は効かないんですよね?
おそらく天変地異でも起こらない限り保険診療とはならないでしょう。ヨシダ歯科のケースでは、下の奥歯2本が抜けて、そこに単純にインプラントを実施した場合、上部構造も含めて55万円程度です。1本なら30万円程度です。単純に2倍にはなりません。
また、普通の埋入手術以外に別料金の特殊オペを併用しなくてはならないケースもあります。3本欠損でも2本の埋入で済むケースもあります。施術前にわかりやすい見積もり書を出しますのでご安心下さい。
痛そうなんですが・・・
麻酔を十分しますので大丈夫です。今までの症例では2例のケースで術中の痛みがあったケースがありました。おひとりは「どんな治療でもまともに麻酔が効いたためしがない」方でした。もう一人の方は抜歯同時埋入だったのですが「麻酔量が十分ではなかった」と考えられる方でした。
「ゴリゴリ怖かった~」とはよく言われますが「痛くてひどかった~」はほとんどゼロです。
インプラント専門医が近くありません
自分がインプラント分野で尊敬、敬愛している先生の診療所は「・・・歯科」「・・・歯科医院」「・・・歯科クリニック」ばかりです。「・・・インプラントセンター」だとか「・・・インプラントクリニック」という名称で歯科医院を展開している先生はおりません。もちろん「○○インプラントクリニック」などと標榜している先生にも素晴らしい方はいらっしゃると思います。
ただしこれだけは知っておいてください。歯科で広告可能な診療科名は規制緩和後も「歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」の4科のみであって、「インプラント科」と標榜するのは広告違反行為であります。また、それに類似する「インプラント専門外来」なども違反です。
どんな年齢でも治療は可能でしょうか。
他の条件にも大きく左右されますが、おおむね20歳以上~~無制限と考えて下さい。ちなみにヨシダ歯科の例では今のところ最低年齢26歳、最高年齢77歳です。
成功率はどのぐらいでしょうか。
確認が出来ているケースで、抜け落ちてしまった方は2名、インプラント本数としては3本です。
思うに、A氏もB氏も「まったく問題なく手術を終えた」患者さんでした。自分でも意外な感じがします。
A氏:上の奥歯の単独例。前処置としての歯周病治療がおろそかだったのかな~と反省しております。でもこの方、最終処置が終了してからメンテナンスに来てくれなかったんです、、、と言い訳させて下さい。
B氏:上の奥歯の2本連結例。ちゃんとメンテナンスに来てくださっていたのに、、、4年10ヶ月でダメになりました。5年保証ですので返金させて頂きました。
咬合、歯周病の合わせ技ではないかと反省しています。
ヨシダ歯科でのインプラントは何を使うのですか。
ZIMMER社のSpline Twist をもっぱら使用しております。 日本では株式会社白鵬が取り扱っております。特徴はHAインプラントであり、ZIMMER社の技術によりHAが剥がれることのない安全性の高いインプラントです。
また、OAMインプラントシステムにより「あまりドリルを使わない施術」をしております。今のところ(2009.10.1)北海道の認定医はヨシダ歯科を含めて11医院、近隣ではヨシダ歯科だけです。
歯を抜いてすぐにでも手術は可能ですか。
ケースバイケースですが、可能です。逆に、抜歯と同時にインプラント埋入したほうが良いケースもあります。近年では抜歯同時インプラントもずいぶんと推奨され症例数も増えてきました。出来れば抜歯前にご相談していただけると助かります。
分割払いは可能でしょうか。
例えば、インプラントに関して総額50万円かかるとします。そのうち35万円が手術にかかる費用で残り15万円は実際の歯を作るのにかかる費用です。その間、数ヶ月ありますので1度に50万円がかかるわけではありません。
また、医院独自の分割制度はありませんが、各種カードによる支払いも可能です。
※以下、車関係の方は読まないでね(笑)
たしかに、1本で30万は高いですよね。都会では地代がもっと高いせいか、もっともっと高額だと思われます。2本で50万円台なんて田舎だからなせる技ですワ。でもですよ、200万の車を買ったと思って下さい。3年後には100万になりますよね。1年間で30万以上も消費したことになります。車と比べたら(大きさはずいぶん違いますが)安いでしょ~。毎日毎日、ズーッと使う物ですし。
手術後、すぐに旅行に行くのですが・・・
インプラントの本数や部位にもよりますが、最低2週間・・・いや楽しい旅行のためには3週間はまってて欲しいです。大小の差はありますが、腫れることが多いです。術後の痛みだってあります。皮膚が黒くなることもあります。(もちろん、時間がたてば治りますけどね)
どんな場合でもインプラントは可能でしょうか。
ほどんど全ての部位、20歳以上の全ての方にインプラントは可能ですが、以下の方は不適合かもしれません。
実は「インプラントを考えている」と来院された患者さんのうち「ブリッジが妥当では?」とか「インプラントは要らないでしょ?」という方もかなりいらっしゃいます。
- 重度の糖尿病など、全身状態が良くない方
(進行性のガンの方や、重い腎疾患の方も無理だと思われます) - 骨の条件やお口の状態に問題のある方
(骨の高さが1ミリも無いとか、お口が1センチしか開かないとか・・) - 無理な設計を求める方
(何事にもバランスが大事です。インプラントにもバランスが大事なんです) - 人間的に問題ありの方
(札束をビラビラさせて「金はいくらでも出す!ちゃんと咬めるようにしろ!」な~んていう方はお断りさせていただきたいなぁ~)
インプラントを経験して
プロローグ
ワタクシ・ヨシダカズヒロは恥ずかしいぐらいに口腔管理の出来ていない少年でした。ミュータンス菌も多かったのでしょうが、口腔清掃も生活習慣も悪く、ご幼少のみぎりの頃から虫歯だらけでした。
んで、右下67が欠損していたので、インプラントによって咬合を回復しようと前から思っていました。ですが、ヨシダ歯科と同じインプラントを使っていて、信頼できる近隣の歯科医がなかなかいませんでした。平成21年12月、ようやく2名の術者を見つけて(笑)施術をお願いしました。
右下67が欠損していますが、オイラは顎関節症もあり口が大きく開けられません(回転寿司の軍艦は工夫しないと口に入らないほど)。またスペースもないので6番のみ1本のインプラントを入れることにしました。
手術当日(12月3日 木曜日)
ヨシダ歯科に2名の先生をお招きして施術してもらいます。当院の衛生士・助手からは「先生、ドキドキしませんか?」と聞かれましたが、案外と不安感やドキドキもありませんでした。平常心です。
ジスロマックSRドライシロップ(抗生剤)を術前に1瓶飲みました。麻酔をして口腔内の清掃をしてもらいます。ボクはインプラントオペの時は麻酔をしっかりと多めに注入するのですが、他の先生はそれほどの量の麻酔をしないのですね・・・それが不安でした。
切開は痛くありませんが・・・ドリルで微妙な痛さを感じます。やはり麻酔量が少ないのでは?と不安になります。ドリルを交換していき、だんだん太い穴を形成しますが、ドリリングにかなりの時間がかかります(意外と骨が硬かったそうです)。
もう少しで激痛に???というぐらいの痛さでドリリングは終了しました。
次にインプラント埋入です。ツイストタイプ(ネジタイプ)のインプラントを入れていくのですが、ギュッギュッと骨が押し広げられるような微妙な痛みがあります。やはり、麻酔量が少ないのでは??と感じました。
埋入後、インプラントの蓋の部分を交換したり、縫合する作業があるのですが、ボクの口が大きく開かないため苦労かけました。手術は他の歯の抜歯1本を含めて午後5時から6時半までの90分でした。
術後、すぐに痛み止めを飲みました。
夕食は麻酔が切れる前に豚汁を少しと玉子かけご飯を少し食べました。頬、舌、唇を噛まないように要注意です。いつもは夜中まで起きているのですが、アイスクリームを食べ、転ばぬ先の杖とばかりに痛み止めを飲んで午後9時には寝ました。
手術2日目(12月4日 金曜日)
夜中に痛みで1回起きましたが、幸いに腫れは酷くありません。痛みは時折襲ってきますが、それほどの激痛ではありません。
朝は甘い缶コーヒーとアイスクリーム、昼は甘い缶コーヒーとロールケーキとアイスクリーム、夜はウドンを1/2食べました。
仕事中(診療中)、痛みの為に少しだけ無口になってしまう時間があります。治療を受けられた患者さんには無愛想な時があったと思うので申し訳なく思います。
激痛ではありませんが、痛みは時々襲って来ます。痛み止めは大切に持ち歩きましょう。
登別地区の忘年会がありましたがもちろん欠席です。DVDを1本見て午後10時半には寝ました。
手術3日目(12月5日 土曜日)
相変わらず腫れは酷くありませんが、数時間に1回ぐらい痛くなります。痛くなったら痛み止めをすぐ飲むことにしてます。
朝はウドンを1/2、昼はびっくりドンキーでハンバーグを食べました。夕食は甘いコーヒーとアイスクリームとロールケーキです。
DVDを1本見て午後10時半には寝ました。
手術4日目(12月6日 日曜日)
早朝に痛みで目覚めます。ワタクシ、うつ伏せになって右頬を下にして寝るクセがあるんですが、それも誘因となっての痛みだと思います。午前11時ぐらいにも痛みがあり、少し憂鬱になりました。
夕食はお祝いの席があって、美味しいシャンパンも用意したので思い切ってアルコールを摂取しました。勝手な判断でアルコールを飲む前「転ばぬ先の杖」と言いながらロキソニン(痛み止め)を服用しました。(真似しないでくださいね)
結局、酔うほどまで飲んじゃいました。(真似しないでくださいね)
当然のことながら、酔っているときは痛みを感じません。(だから、真似しないでくださいね)
手術5日目(12月7日 月曜日)
早朝に痛みで目覚めました。昨日のアルコールが良くないんでしょうね・・・反省です。突っ張るような痛みがありますが酷くはありません。
が、縫ったカ所がどうしても気になります。舌でさわっちゃいます。昼と夕方にもロキソニンのお世話になりました。
食事は普通に食べられますが、噛みにくいのでどうしても固いモノをさけちゃいます。
手術6日目(12月8日 火曜日)
今までの術者としての経験上、腫れがあったり見た目の悪さがあるほうが痛みが少ないようですね。ワタクシの場合、見た目の変化はないのですが痛みが長く続くのかも知れません。
思い出すのは腫れもない、傷口も綺麗な患者さんなんですが、ずいぶんと長い期間の痛みがあった方がいらっしゃいます。もちろん、今では痛みもなく上部構造も入っているのですが、その方と同じような感じなんでしょうね。
今朝も5時過ぎに痛みで起きました。ロキソニンを2錠のみました。
手術9日目(12月11日 金曜日)
衛生士に抜糸(バツイト)してもらいました。衛生士が見るに「歯茎がベロベロしていて痛そう。糸が引っかかって上手く取れません」とのことです。そうですよね、何年も衛生士の仕事をしているスタッフですが、抜糸は初めてでしょう。
仕方なく、自分で自分に麻酔をして、手鏡を見ながら「そこ、そこ、そこを引っ張って根本を切って!!」と指示を出しながらの抜糸です。
抜糸すると痛みが少し楽になりました。
手術10日目から1ヶ月ぐらい
とにかく、歯肉のベロベロが気になります。何度となく「自分で麻酔して切っちゃおうか」と考えました。ズーッと思っているうち、ベロベロが無くなりスッキリしました。
手術約3ヶ月目
衛生士に模型上で何度も何度も2次オペの説明をします。自分で麻酔をしての2次オペ。インプラントは骨と強固にくっついているようです。
それから1週間後
インプラント上部構造の印象(型取り)をしました。インプラントの型取りは普通の型取りと違いますので、これも模型上で何度も説明してやってもらいました。
それから更に10日後
上部構造が入りました。今までズーッと何もなかった場所に歯が生えましたので.違和感が半端無くあります。舌が気になる~、、気がつくと舌で触っている自分がいます。噛み合わせると妙に上の歯が痛い(笑
それでも久々に歯がある幸せを感じました。
舌感など慣れたのは、、、、数ヶ月かかったかも知れません。