診療室

奇跡的

7月11日の「やったぜ和ちゃんバッチグー」と自分で勝手に思っている症例ですが、その後の治療経過もおおよそ良好で、患者さんからも「レントゲン写真UPしちゃってもいいです」と了解を得られましたのでお見せします。

患歯は左上6番(26番)です。25も27もかなり怪しいですが、特に25は手をつけたら痛い目に合いそうな予感がアリアリです。なので見なかったことにしましょう。

主訴:痛いんです → 左上6番に打診(5と7は大丈夫) → デンタル写真
ふむ、、大昔の生切後かな??
「コレって、覚えてもいないぐらい前に治療した歯なんですかねぇ?」

どうなってるんだべ?
どうなってるんだべ?

 

「いえ、実は、、、」
と経過をお話ししてくれました。

「他の歯医者さんで『神経まで行ってないと思いますけど虫歯があるので治療しますね』、、、と言われ、その治療途中で『すいません、やっぱり虫歯が深くて神経神経を取らなくてはなりません』ということで神経を取りました。」
「それから、神経を綺麗にする治療を数ヶ月行って、ようやく痛みが消えたので銀歯をかぶせると、、やっぱり痛くなったんです。」
「噛み合わせかもしれないということで、噛み合わせの調整をしたり、歯ぎしりかも知れないということでマウスピースを作ったのですが治らなくて、、、」
とのことでした。

ああ、、とまあ、ある程度の予想はしてクラウンを外して、観察します。
ビタペックスが黒くなっていて、見事なまでに髄床底に穴が空いてます。やっぱり、、orz
根管、かなり探したんですよねきっと。
探して探して墓穴を掘って、どんどん広がっちゃったんでしょう。
同じ歯科医師ならその気持ち、分かりますよね。

こんな感じ
こんな感じ

 

心の準備(自分の)も出来ていなかったし、時間の準備も出来ていなかったので、その日は同じくビタペックスを置いて、綿球を置いて、上に硬いセメントを置いて封鎖しました。柔らかい材質の蓋だと ” 上から押ささって(北海道弁)” 噛むと余計に痛くなっちゃいますからね。

「次回は、、、1時間ぐらいかかるかも知れません」ということで、時間をしっかり確保してコトに臨みます。
全部抜歯の可能性49.5パーセント、BM根の部分抜歯の可能性49.5パーセント、歯をそのまま保存できる可能性は1パーセントぐらいの気持ちです。
患者さんにもそうお伝えします。
きっと、57の根管治療が綺麗だったら抜歯を強くオススメしていたんだと思います。

まず麻酔をしっかり行います。
超音波スケーラーでがっつり綺麗にします。
穴が空いて出血している部分をレーザーで焼く焼く。

さて、とりあえずは口蓋根にチャレンジ!!
少し削ると何となく根管口らしき物が見えます。
細いリーマーを入れると、、、それっぽい。
エンドメーターでは、、、いきなり「ビービー」って怒られます。
くそ!!でもココに違いなんだ!!
もう少し削ります。
周囲をもう一回レーザーで処理します。
今度は、、、おお!!「ピッ ピッ」と正確な反応がします。
とりあえず口蓋根を広げていきます、、根管口はもう広げられないので番手は40番ほど。
MTAシーラーとガッタパーチャーで封鎖します。
遠心根もほぼ同じ感じで上手くいきました。
奇跡です。

これでBMがダメだとしても2根を残しての大臼歯単冠が出来そうです。

なんだか今日は調子が良さそうです。
予定時間はまだオーバーしてないし、、
調子に乗ってBM根は、、、ありました!!ありました!!
本当に奇跡的です。
怖いので4根目には目を瞑ることにします。
絶対に墓穴を掘りそうですもん。

ということで、何とか3根の根充を1日で終了させました。

記念に、例のバカ高いMTAセメントを焼却した部分にそっと置き、その上はコンポジットレジンにて封鎖します。
汗だくの根管治療でした。

7のBMもきっとオカシイと思うけど、、
7のBMもきっとオカシイと思うけど、、

 

とうことで、今回の処置ですが
1日目:クラウン除去、感染根管処置
2日目:根管充填、KP(単純)+充填及び充填材料料(単純)

となりますが、、
2日目のKP(単純)+充填及び充填材料料(単純)が査定されます。オイラは大反対なのですが、
【髄床底等の封鎖は感染根管処置と同日に算定すること】というQ and Aが出ちゃったんですよね。

ということで、根管貼薬または根管充填と同日はダメです。
気をつけましょう。
あ、根管貼薬または根管充填と同日でも算定可能となりまいたらご報告いたします。
→ 穿孔に対する封鎖ですが「根管治療中はいつでも可」になりました。感染根管処置と同日、根貼と同日、根充と同日まで可です。ちなみに抜髄時の封鎖も算定可能です(2023年8月追記)

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